皆さま、こんにちは。ユウミです。毎回、私流の着物ライフを発信しておりますが、今回は…『祖父の卒寿のお祝い』についてお話しさせていただきたいと思います。
母から「今年、おじいちゃんが90歳のお誕生日を迎えるので、親戚みんなで集まって卒寿のお祝いをしようと計画している」との話がありました。お盆休みの時期に予定をしているということで、それを聞いてすぐに、お祝いの会には夏着物を着て行こうと決めていました。そして、この祖父の妻こそが、私が着物ライフを始めるきっかけとなりました「あこがれのおばあちゃん」なのです。
この日の装い
正絹の夏物はこの一着しか持っていないのですが、白地に黒や藍色の小さな絣で葡萄柄が流れるように入っているこちらの絽の着物は、とても気に入っているものです。夏物はあまり着る機会がないだけに、この着物を着る時は少し特別な感じがします。身内同士の集まりなのでかしこまったものではありませんが、何となくシックな装いの方が良い気がして、きりっと黒色の夏帯を合わせました。全体的にはモノトーンのコーディネートですが、小物には帯にも入っているパステル調の黄色やピンク色を持ってきて少しだけ色を足しました。
かんざしは「かんざし屋WARGO」で購入した、木彫りで蓮華の花がモチーフになったものを挿しました。「紅檀」のしっとりとした質感が、モノトーンの大人っぽい着物のコーディネートによく合っていたように思います。
祖父へのプレゼント
全員で8人いる孫の中で最年長の私は、従兄弟達を取り仕切って祖父へのプレゼントの用意をすることに。
メッセージカード
和紙で作った紫陽花の花を飾り付けた手作りのカードには、祖父へのお祝いの言葉を。その下のスペースには私も含め、会場に集まった孫たちにそれぞれ名前を書いてもらいました。
プレゼント
プレゼントは悩みましたが良い睡眠をとってほしいと思い、祖父と祖母それぞれにタオルケットを購入することにしました。贈答用にきれいに包まれたものもありましたが、一般の売り場に置いてあるものの中から手にとってみて私が一番良いと思ったものにしました。ラッピングはサービスカウンターは利用せず、100円ショップで購入したアイテムを使って自分ですることにしました。
ペーパーバッグについていた持ち手のひもを取り外し、その穴を利用してサテンのリボンで口を閉じるように飾り付けしました。
バースデーケーキ
私はお菓子作りが好きで、家族や両親のお誕生日にはいつも手作りのバースデーケーキを用意していますが、やはり祖父の卒寿も手作りのケーキでお祝いしたいと思い、作ったのがこちらです。小嶋ルミさんのレシピ「おいしい!生地」に載っています「卵ロール」の生地を焼き上げ、セルクルで丸くくりぬき、ホイップクリームのみで仕上げたシンプルな小ぶりのケーキに、アイシングクッキーで作ったメッセージプレートを飾り付けました。私は着色料を使うのが好きではありませんので、ピンク色はイチゴパウダーを、茶色はココアパウダーを使って色付けしています。「90th」の文字を書き込む時は、いつもの子供たちの可愛らしい数字とは違い、何だかとても重みを感じました。
お花
*お花は、お祝いの会に利用させていただく会場の近くにあります「花のすみれ屋」野幌代々木店さんでお願いすることにしました。
最初、大きめのブーケをひとつと思ったのですが、孫、ひ孫がそれぞれ小さなブーケを持ち、ひとりひとり祖父に渡すようにすると素敵だなと思い、対応してくださった花のすみれ屋さんのご主人にそうお伝えしました。すると、いろいろな種類のお花と切り分けたスプレータイプのお花を合わせて、可愛らしいミニブーケに仕上げてくださいました。1~2種類のお花で統一感をもたせた方が良いかなとも思ったのですが、後に、目をつむりながらこれから始まるお祝いのシーンをイメージされていた様子のご主人の「にぎやかな感じの方が良いのではないか」という意見を聞くことにして大正解だったなと感激しました。花のすみれ屋さんのご主人の中谷さんは、初めてでも相談しやすい優しい人柄で、「花」そのものではなく「その花と共に過ごす素敵な時間」を提供してくださったように思います。ラッピングをしていただいている間のお話しからも、花やお仕事に対する真摯な姿勢が感じられました。
お祝いの会
お祝いの会は祖父母の自宅近くにあります小さなセレモニーホールで行いました。会場に到着すると久しぶりに見る従兄弟や叔父叔母の顔が。子供の頃は夏休みやお正月などには必ず祖父母の家で会っていた親戚も、こうして皆がきちんとそろうのは一番年下の従兄弟の結婚式以来ですので10年ぶりでした。記念撮影を済ませ、回転テーブルが用意された部屋へ移動。皆が着席したところで私の父のあいさつでお祝いの食事会が始まりました。運ばれてくるおいしい食事を頂きながらの皆で過ごす時間はやはり楽しいものでした。おなかも満たされてきた頃、母からの合図で祖父へプレゼントを渡すことに。まず、母たち3姉妹から祖父が生まれた日の新聞とピンク色のポロシャツが渡されました。「お父さんへ」と添えられた手紙には、どのようなことが書かれていたのでしょうか…。そして、次は私たちの番です。
まず、お花を。まだ小さなひ孫たちは、いろいろあるミニブーケの中から自分の1番好きなものを真剣に選び、祖父に渡してくれました。統一感をもたせようと同じものを用意していたなら、ただ渡すだけの単調な作業になっていたでしょうが、自分好みのものを選んでいる時の小さな子供たちの姿は可愛らしく、祖父のことを思ってくれているようで嬉しかったです。また、ひとつのブーケを渡しただけでは簡単に終わってしまう花束贈呈のシーンも、ひとりひとり手渡すことで素敵なセレモニーとなりました。その後、メッセージカードとプレゼントを渡し、いよいよ最後にバースデーケーキでお祝いです。
「次は100歳のお祝いをさせてね」の意味を込めてキャンドルは1本。皆で「happy birthday to you」の歌を歌いました。元気だった祖父も最近では車いすで生活するようになり、たった1本のキャンドルの火を消すのもやっとでしたが、祖母に応援されて何とか消してくれました。祖母が祖父に一口食べさせた後の残りは、小さく切り分けて皆で頂きました。会の最後は、改めて皆で「お誕生日おめでとうございます!」の言葉で締め、楽しいお祝いの会は終わりました。
おわりに…
その時しかない時間、喜ばれるお花を用意できるか、土地勘がない中のお店選びは不安がありましたが、「花のすみれ屋」さんを訪れることにして良かったです。祖母が「うちには多いから…」と皆に分けてくれたいろいろな種類のミニブーケは、持ち帰るのにはちょうど良く、さらに選ぶ楽しさもありました。祖父のおかげで過ごすことのできた、久しぶりの親戚そろっての楽しい時間。着物で来ていたのは私と祖母の他には私の母と叔母の4人でしたが、やはり着物姿は特別感があり、セレモニーをより印象深いものにしたのではないかなと感じています。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。どうぞ、皆さまも素敵な着物ライフをお過ごしください。。